雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

門外不出を連れ出す方法 「フリーア美術館の北斎展」で北斎の手癖を見た

昨年、大塚国際美術館に行ってから、自分の中で「複製」という言葉のイメージが大きく変わった。

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それまでは「本物」こそが「本物」であり、「複製」は総じて「偽物」という印象を抱いていた。しかし大塚国際美術館で美術陶板を鑑賞してから、「本物」を「複製」するということには様々な意味があるということを知ったのだ。

稚拙な言い方をすれば、この世には「良い複製」「悪い複製」がある。

大塚国際美術館の美術陶板は「良い複製」であり、そして今回すみだ北斎美術館にて開催されている「フリーア美術館の北斎展」、こちらに展示されているフリーア美術館の複製画も、確固たるプライドを持った「良い複製」と言えるだろう。
本物を模すことが何をもたらすのか、その新たな一面を知ることができる展覧会だった。

※写真は主催の許可を得て撮影しています。

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最近、地味に続けていること

ゴールデンウイークに、野点(のだて)に挑戦した。

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前々から「実は最小限の携行品で実践可能なんじゃないか?」と勘繰っていた野点
──と言っても、本格的なそれらしいものではなく、ただ単に外でお薄を飲むというだけである。よって、シミュレーションなどしなくても、お湯と抹茶と茶筅(ちゃせん)と器があれば事足りることは分かっていたのだけれど、やってみないことには分からないので、とりあえずやってみたのでした。

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ゆく春。楽しい時間が過ぎてしまう悲しみについて

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春が好きだ。

それも、一年のうちで今の季節が一番好きだ。

毎年、北風の中にときおり角の取れたまるい風が混じるようになると、春がもうすぐやってくるのだとわくわくする。

そして桜の蕾が気になり始めるのだけれど、これがだんだんと膨らんでくるとそわそわしてしまって、開花の情報が流れようものなら「ああ、そんなに急いで春にならなくていいんだよ」と焦ってしまうのだ。

この季節が一年のうちで一番好きだ。
でも、好きすぎるあまり、過ぎ去ってゆくのを恐れてしまう。

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「酒呑童子絵巻」にて、彼の知られざる過去を知った

源頼光の化け物退治物語が好きだ。
それらは大スペクタクル絵巻になることが多く、派手なアクションあり、ユーモアありの、盛りだくさんな世界でできあがっている。

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《土蜘蛛草紙》東京国立博物館

 

《土蜘蛛草紙》を観て、その独特すぎる雰囲気のファンになり、あわせて彼の仲間である渡辺綱が好きになった。渡辺綱は付き合いが良いのだ。そして刀剣乱舞でもおなじみ、「髭切」のかつての主でもある。

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重要文化財 太刀 銘安綱(名物髭切・鬼切) 北野天満宮


 

そんな頼光と綱たちが活躍する酒呑童子退治の物語。
話は至ってシンプルなドラゴンクエスト的展開なのだけれど、ここへきて酒呑童子の過去を初めて知り、その衝撃がとても大きいものだったので忘れないように書いておこうと思う。

 

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今日あった不思議な出来事

「世の中にはふしぎなことがあるもんだなあ」

そう思ったことはありませんか?
その時は大して気にも留めなかったことが、後々めぐりあわせを生むような。

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私は今まで何度か不思議な出来事に立ち会ったことがあるのだけれど、今日またそういったことがあったので(そして個人的にちょっと素敵で気に入っているので)、せっかくだし日記に残しておこうと思う。

 

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有料書店「文喫」についてもう少し自分の思うことを書く

NTTレゾナントが運営するポータルサイト「goo」のサービスの中に、「いまトピ」というサイトがある。

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昨年春から月に1~2回、こちらで(なるべく)「アート」にちなんだコラムを書かせていただいている。

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単眼鏡の恐ろしさを東博とルーベンス展で実感した

 ひとつ前のブログにも書いたのだけれど、昨年狩野芳崖の作品を観て猛烈に単眼鏡の必要性を感じ、本格的に購入を考えるようになった。

ちょうどその頃、アートブログ「青い日記帳」のTakさんケンコー・トキナーの単眼鏡「ギャラリーEYE」の記事を書いており、読むうちにこの単眼鏡に惹かれていった。

www.kenko-tokina.co.jp

というのも、自分がかつて使っていた(そして今もたまに使う)一眼レフの交換レンズ一式がトキナーのものなのだ。はじめはビクセンの単眼鏡にしようと思っていたのだけれど、そうか、トキナーって単眼鏡出していたのか。こうなってくると俄然こちらを贔屓してしまう。
ビクセン刀剣乱舞の山姥切国広モデルを出してきたので迷ったのだけれど、近距離からもピントが合うこと、視野がひと回り広いことから、初めての単眼鏡は「ギャラリーEYE」、君に決めた。

 

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