雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

【巨大映像で迫る五大絵師】展で「見る」を鍛えた話

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大手町の三井ホールにて、「巨大映像で見る五大絵師」を見た。 

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文字通り有名な五人の絵師の作品が巨大映像になっているというもので、葛飾北斎歌川広重俵屋宗達尾形光琳伊藤若冲という錚々たる名前が並ぶ。

当初私は「今はやりの没入型インスタレーションみたいな感じかな」と思っていたが、違った。画面が巨大なので没入しようと思えばできるけれど、どちらかというと「見る」という行為に脳を全振りするような体験だった。
目の前いっぱいにばかでかく現れた絵を、見る。「観る」ではなく、「見る」。それはもうつぶさに「見る」のだ。

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私的年度末に、渡良瀬遊水地へ行った

ひとつ年をとるので、その前の区切り(私的年度末)として、今の自分が気になっている場所へ行くことにした。
目下コロナ禍であり、高齢の家族と同居しているため、あまり遠出することはできない(とは言え毎日都内へ満員電車で通勤し、打ち合わせやったりなんだりしていることに比べたら遠出の方がリスクは少ないだろうけれど)。
そんなわけで、いくつか気になっている場所のうち、混まない電車に乗って行ける混まないところ──ということで、栃木県にある「渡良瀬遊水地」に白羽の矢が立った。

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「コンスタブル展」で雲を眺めた話

先ほどiPhoneの写真フォルダを遡ったところ、雲を写した写真がたくさん収められていることに気がついた。

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フィルムの時代から空を被写体にした写真を多く撮ってきたが、携帯電話にカメラ機能が付いてからというもの、その頻度は比較にならないほど増えた。

それくらい、空はモティーフとして身近なものになっている。

画面の4分の3を空が占める構図は今や珍しいものでないし、なんなら空のみで構成される作品もある(阪本トクロウさん最高ですよね)。
空を単独のモティーフとして描いた最初の人は、誰だったのだろう?

(※以下、会場の写真は許可を得て撮影。作家名のないものは全てコンスタブル作品です)

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戸定邸に行った

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大川原梅園

 家から40分ほど自転車で走ったところに「大川原梅園&ハーブガーデン」という施設がある。

 その名の通り細い道を挟んで梅園とハーブガーデンがあり、ハーブガーデンではハーブを買うことができ、カフェも併設されている。

 毎年2月の下旬になるとここの梅が見ごろになるので通っていた。カフェに入れそうならケーキとお茶を楽しみ、カフェが混んでいればハーブの入ったクッキーを買って帰った。

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「冨安由真展/漂白する幻影」で亡霊を体験した

 かつて2ちゃんねるにあった、廃墟に突撃するスレッドをご存じだろうか。

 はっきり言って違法行為なのだが(人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた場合、軽犯罪法違反となるそうです)、15年くらい前、そのスレッドを見るのにはまっていた時期がある。
 たいていは誰かが廃墟に突撃する旨をスレッドで告知し、仲間を募るか単独で侵入する。中を荒らしたり、物を壊したりするのは暗黙のルールでご法度となっており、写真を撮ってアップしながら只々掲示板に「実況」を書き込むスタイルである。

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2020年に観た展覧会を振り返る

あけましておめでとうございます。

昨年内に振り返るつもりでいたけれど、なんとなくうまくまとめられず、年が明けてしまいました。

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《松崎天神縁起絵巻》(模本)前田氏実 模 東京国立博物館蔵 これくらい元気に生きたい
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