雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

「ヴァロットンー黒と白」を体験した話

《〈アンティミテ〉板木破棄証明のための刷り》 1898年 木版 三菱一号館美術館で、「ヴァロットン─黒と白」が開催されている。もう開幕してひと月以上経っているので、すでに訪れた人による感想もそれなりに上がっている。 かくいう私も、以前、美術展ナビに…

葉山女子旅きっぷを使って、アレック・ソス展に行った話

「神奈川県立近代美術館でやってるアレック・ソス展に行きたい」 www.moma.pref.kanagawa.jp そう思っていたのが6月とかそれくらいで、葉山は家からかなり遠いし、8月の夏休みに旅行気分で行くかと思ったところ「8月の葉山はシャレにならんレベルで混むし、…

古寺に行った話

今年(2022年)、小学館から『隔週刊 古寺行こう』というムックが発売された。 www.shogakukan.co.jp タイトルの通り隔週で刊行され、毎回1つ、または複数の寺院が紹介されるというスタイルだ。小学館のウィークリーブックはとても良くできており、図版も美…

2021年を振りかえる

エントリではほぼ触れていませんが、今年もトーハクの総合文化展には楽しませてもらいました 残念ながら2021年も、新型コロナウイルスの影響を受けた年になってしまった。 普段、美術業界の末席で仕事をしているため、特に前半は散々な目に遭ったなァという…

ホテルニューアカオの最後を見に行った

※これを書いた時点では、ホテルニューアカオ館が今後も活用されるとは発表されていなかったため、このようなエントリになっております。現在ホテルニューアカオ館は、アートイベント等で使われています。宿泊営業は終了しています。 先日Twitterで、熱海の「…

イスラエル博物館所蔵 「印象派・光の系譜」で光を見た話

コロナ禍になって、1年半ちょいが経とうとしている。もともと変なところで潔癖なうえに、呼吸器と循環器を悪くした過去があることから、この1年半、それなりに高めの緊張感を途切れることなく持って生活してきた。 空がどんなに高くとも、風がどんなに暖か…

京都へ旅したはなし1(市川屋珈琲、河井寛次郎記念館、山口晃展)

3年ぶりに京都に行った。目下コロナ禍、1年前に横浜に宿泊をして旅気分は味わったものの、新幹線に乗るような距離は久しぶりだ。 nijihajimete.hatenablog.com さて、今回のメインは山口晃さんの展覧会「ちこちこ小間ごと」(ZENBI)と、「フィンレイソン…

春への義理立て

半期振り返りその2。誰だったか忘れてしまったが、春を満喫したことに対して「春への義理を果たした」と言っている人がいて、それに倣っていつの頃からか桜をしっかり見届けることを「春への義理立て」と呼ぶようになった。自分が桜の頃に生まれたということ…

海に通うはなし

昨年に撮った写真を探すために Instagram を遡っていたら、この9か月の間に見たいろいろな景色が思い起こされた。いろいろな、と言っても遠出した先で見たものではなく、ほぼ家と地元、そして都内の風景である。 目下コロナ禍真っ最中であるためメリハリも…

うたかたの日々2

これは、私と「あおい」との、うたかたの日々の記録である。

【巨大映像で迫る五大絵師】展で「見る」を鍛えた話

大手町の三井ホールにて、「巨大映像で見る五大絵師」を見た。 faaj.art 文字通り有名な五人の絵師の作品が巨大映像になっているというもので、葛飾北斎、歌川広重、俵屋宗達、尾形光琳、伊藤若冲という錚々たる名前が並ぶ。 当初私は「今はやりの没入型イン…

私的年度末に、渡良瀬遊水地へ行った

ひとつ年をとるので、その前の区切り(私的年度末)として、今の自分が気になっている場所へ行くことにした。目下コロナ禍であり、高齢の家族と同居しているため、あまり遠出することはできない(とは言え毎日都内へ満員電車で通勤し、打ち合わせやったりな…

「コンスタブル展」で雲を眺めた話

先ほどiPhoneの写真フォルダを遡ったところ、雲を写した写真がたくさん収められていることに気がついた。 フィルムの時代から空を被写体にした写真を多く撮ってきたが、携帯電話にカメラ機能が付いてからというもの、その頻度は比較にならないほど増えた。 …

うたかたの日々1

これは、私と「あおい」との、うたかたの日々の記録である。

戸定邸に行った

大川原梅園 家から40分ほど自転車で走ったところに「大川原梅園&ハーブガーデン」という施設がある。 その名の通り細い道を挟んで梅園とハーブガーデンがあり、ハーブガーデンではハーブを買うことができ、カフェも併設されている。 毎年2月の下旬になるとこ…

「冨安由真展/漂白する幻影」で亡霊を体験した

2021年1月に開催された「冨安由真展/漂白する幻影」の感想

2020年に観た展覧会を振り返る

あけましておめでとうございます。 昨年内に振り返るつもりでいたけれど、なんとなくうまくまとめられず、年が明けてしまいました。 《松崎天神縁起絵巻》(模本)前田氏実 模 東京国立博物館蔵 これくらい元気に生きたい

3つの声と100年を旅する:トライアローグ展 行ってきた(横浜美術館)

横浜美術館で11月14日から始まった「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」。 新型コロナウイルスによって諸々今までとは異なる仕組みにせざるを得なくなっている現在、美術界も然りであり、海外との作品の…

ホテルニューグランドに宿泊し、横浜を観光した話(後)

▲前回のブログには上げ忘れてしまったが、メインロビーはこんな感じ。 これ↓の続き。 nijihajimete.hatenablog.com 朝。のろのろと起き上がり、備え付けのポットでお湯を沸かし、ほうじ茶を飲みながら朝ドラ鑑賞。最近見逃すことが多かったのだが、登場人物…

ホテルニューグランドに宿泊し、横浜を観光した話(前)

横浜にある、「ホテルニューグランド」に宿泊した。 私は千葉県民で、横浜までならだいたい1時間強でアクセスできるところに住んでいる。そのため、「横浜に宿泊する」なんてことは今まで一度も考えたことがなかった。 仕事の後にチェックインして、そこか…

教科書の小説が個人に与える体験について

昨日、このようなツイートをしたところ、なかなかの反響があった。

鴻池朋子 「ちゅうがえり」を観た

鴻池朋子の「ちゅうがえり」を見に行った。すごかった。精神が身体から離れてしまうんじゃないかと思うくらい怖かった。

夏目漱石に愛された画家の話 (津田青楓展)

練馬区立美術館で開催されていた「生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和」が閉幕した。もっと早くにブログを書くべきだった。とても良い展覧会だったから。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、途中から土曜日曜の開館を「自粛」さ…

ゴッホ展へ行き、この人 生きづらかったろうなあとしみじみ思った話

仕事の帰りにゴッホ展へ行った。 いつ上野へ行っても行列を成していた「ゴッホ展」(上野の森美術館)。 「空いてる日に行こう」と様子を見ていたら、あっという間に会期終了目前となってしまった。日中死に物狂いになって仕事を終わらせ上野へ向かうと、そ…

2020年の幕開け・そしてスターウォーズの完結(ep9 ややネタバレあり)

あけましておめでとうございます。 2020年になりました。 ひとつ前のエントリにも書いたけれど、2019年は悪い意味で忙しく、ストレスで心がひどく荒んだ所為もあって、日々のことを全く記憶(記録も)できていませんでした。身体の不調も目立ってきたので、…

2019年に観た展覧会ベスト10

2019年は本当に忙しく、激動とか多忙とかそういう忙しさではなくて、もう「心を亡くす」系の忙しさでした。仕事というか、環境が辛かった。プライベートの記憶が2018年とごっちゃになっている。 ──で、去年はどういう出だしでベスト10のエントリを書いたっけ…

日帰りで尾瀬に行った話

10月の上旬、尾瀬に行った。 天気に恵まれたということが一番大きいが、あまりにも素晴らしい時間だったので、日記に残しておこうと思う。 今年は夏休みに仕事が入ってしまい、どこへも行かずに終わってしまった。 とは言え、日々「外に出たら蒸発するんじゃ…

「クリスチャン・ボルタンスキー ーLifetime」にて、かつてのことを鮮明に思い出した

「きかせて? 一瞬だった?」 そう尋ねられた瞬間、あの日のことを鮮明に思い出した。白くかすんでいく意識の中で、「ああ、自分は死ぬのだ」と思った。その、なんと呆気ないことか。母が私の名前を叫んでいる。唇が真っ白になってしまったと悲鳴をあげてい…

100年たっても、新しい。マリアノ・フォルチュニ展でおおいに腰を抜かした話

「マリアノ・フォルチュニって誰?」 三菱一号館美術館の年間スケジュールが発表されたとき、そう思った。 メインビジュアルを見るかぎりファッションの人のようだが、残念ながら存じ上げず……。というのも私自身ファッションにとても疎く、同年代の友人に比…

門外不出を連れ出す方法 「フリーア美術館の北斎展」で北斎の手癖を見た

昨年、大塚国際美術館に行ってから、自分の中で「複製」という言葉のイメージが大きく変わった。 ima.goo.ne.jp それまでは「本物」こそが「本物」であり、「複製」は総じて「偽物」という印象を抱いていた。しかし大塚国際美術館で美術陶板を鑑賞してから、…