雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

ホテルニューグランドに宿泊し、横浜を観光した話(後)

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▲前回のブログには上げ忘れてしまったが、メインロビーはこんな感じ。

 これ↓の続き。

nijihajimete.hatenablog.com

 

 朝。のろのろと起き上がり、備え付けのポットでお湯を沸かし、ほうじ茶を飲みながら朝ドラ鑑賞。最近見逃すことが多かったのだが、登場人物は把握していたので、ギリギリ話についていくことができた。

 さて、お楽しみの朝食の時間である。
 今回は朝食付きプランにしたので、素敵なホテルで出される朝食は一体どんなものかしらと、足取り軽くレストランへ。
 朝食が提供されるのは「ノルマンディ」というレストランで、私が泊っている本館ではなく、新しく建てられたタワー館の5階にある。そのため一度メインロビーへ降りてからタワー館用のエレベーターに乗り換える必要があるが、ホテルの中が美しいので移動は全く億劫ではなく、むしろ自分に与えられた領域外にも行けることが嬉しい。

 

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▲中庭に面したカフェ「ラ・テラス」も、夜とは違ったイメージに。
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▲海を臨むレストラン「ノルマンディ」。ノルマンディ号の絵が入り口に掲げられている。
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アメリカ大統領選挙一色の紙面

 海に面した席はすべて埋まっていたけれど、銀杏並木と港が広がる窓際に通してもらえた。昨日とはうって変わって曇り空だけれど、午後から晴れるかしら?
 朝食は3つのメニューから選ぶことができたが、私は迷わず「モンテクリストサンド」。フレンチトーストにベーコン、チーズが挟んであり、全部大好物なので「うひょ~♡」となる。量ははっきり言って多くはないが、朝だし、問題ない。何より美しくておいしい。 

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 食後。11時チェックアウトなので、その前に本館のロビーをもう一度拝みに向かったところ、なんと結婚式の準備が。平日なのに結婚式あるんだ! ということはそうか、フェニックスルームの扉が開くのか……。いいなあ、いつか入ってみたい。

 部屋でだらだらとiPhoneを見ながら今日のルートを大雑把に決める。最近洋館巡りを楽しんでいるので、この辺の西洋館をぐるりと巡ってみることにする。数年前にブラフ18番館には行ったのだが、他は子どもの頃以来…? とか、それくらい。(最近巡った洋館の話など↓)

ima.goo.ne.jp

 そうこうしているうちに10時半になり、チェックアウト。後ほどまたホテル内のカフェに来る予定だったので、荷物を預かってもらう。

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▲ニューグランドよ、素晴らしい夜をありがとう。また後でカフェに来ます……

 花盛りの山下公園を抜け、まずは港の見える丘公園へ。「旧フランス領事官邸遺構」を経て「横浜市イギリス館」へ向かう。港の見える丘公園の展望台からイギリス館へ向かう途中にバラを中心とした花が咲き乱れる庭園があるのだけれど、そこが見事で、横浜市はこんなに素敵な花園を擁しているのか……とたまげた。ちょっとだけマスクを外してみたら、清潔で新鮮な良い香りが漂っていて、マスクをしなければならない日常を残念に思う。はやくコロナ禍がおさまりますように。

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 さて、イギリス館。
 1913年に英国総領事公邸として建てられた現在の「横浜市イギリス館」は、伝統的な重厚さと近代的なつくりが調和しており、最近巡った洋館のような華やかさはないものの品の良い内装が素敵。円窓の休憩室が特によかった。マントルピースは当時のものらしい。
 新型コロナウイルスの影響により、現在横浜西洋館全体のルールとして、履物を備え付けのビニール袋に入れて持ち歩いて見学するスタイルとなっている。加えて写真撮影がNGになってしまっており、仕方ないのだけれど、とても残念だったな。
 続いてアメリカ人のJ.E.ラフィン氏の邸宅として1926年に建てられた「山の手111番館」を見る。1926年と言ったら大正時代なので、『鬼滅の刃』の頃ですね。こちらも邸宅の前にバラの庭が広がっていてとても美しい。
 そうそう、横浜の西洋館(山手西洋館)は入館料が無料。無料で市の指定文化財や歴史的建造物が拝めてしまうのです。ありがたいですね。

 少し歩いて外国人墓地を過ぎると見えてくるのが「山手十番館」。さて、お茶でもしようかなと思ったら、なんとここでも結婚式が。ウエディング事情に疎いからわからないのだけれど、結構結婚式って平日にも行われるものなのね。

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▲山手十番館
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▲山手十番館の隣にある、山手資料館
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▲山手聖公会 この日は閉まっていたので、ここの牧師様が山手十番館の結婚式も担当されているのだろうか

 しかしこの辺はハイソサエティというかなんというか、本当に上品なエリアよな~と思いながら歩く。お次は「山手234番館」。

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▲山手234番館

 朝香吉蔵の設計によるもので、お隣の「えの木てい」も同じ。山手234番館は個人邸宅ではなく集合住宅で、真ん中のポーチを挟んで左右の1階と2階にそれぞれ住居があり、合計4戸住めるつくりになっているそう。ここも素晴らしかったので、コロナが明けたら写真を撮りにいきたいな。

 で、元町公園の「エリスマン邸」。この辺りは木々に囲まれているため、私は春夏は絶対に来られない……。よって、次回も来るなら秋だろう。フランク・ロイド・ライトの助手であり、立教大学新座キャンパスの礼拝堂をはじめ、日本に数々の名建築を遺したアントニン・レーモンドによる設計(新座のパウロ礼拝堂大好き♡)。サンルームが心地よいこちらは1990年に移築復元されたものだそうな。
 お隣の「べーリック・ホール」。1930年に建てられたこちらは、現存する戦前の山手外国人住宅の中でも最大規模。コロナの影響で見学できる範囲は限られているものの、木版らしき花鳥画が飾られているなど、洋の中に和のテイストもあり、なんというか、好み。

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▲べーリック・ホール

 てくてく歩き、山手公園
 横浜は「〇〇発祥の地」が本当に多く、山手公園も日本におけるテニス発祥の地である。「旧山手68番館」は現在テニスコートの管理事務所になっており、地元のテニス愛好家でにぎわっていた。

 さらに歩いて「カトリック山手教会」。聖堂の中もソーシャルディスタンシングが導入されているのか、机(という名称でいいのかな?)の上に「〇」マークが。

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カトリック山手教会
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 さらにさらに歩いて「外交官の家」。
 新型コロナウイルスの影響で、2階へ上がる階段が1ヵ所しかない建物は2階が閉鎖されているが(導線が重複するため)、ここは2カ所階段があるので2階も見ることができた。ステンドグラスが華麗で、山手西洋館の中ではお隣の「ブラフ18番館」と並んで好きな邸宅。エントランスも、ゲストルームも、サンルームも素晴らしい。
 明治時代の外交官・内田定槌の邸宅として、もとは渋谷の南平台にあったものを移築復元。設計者は立教の教師として来日したJ.M.ガーディナー弘前の昇天教会もこの人なんですね。あそこ好き。

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▲外交官の家

 ここはちょっと面白くて、2階の渡り廊下に続くところが日本家屋っぽくなっている。かつてはどんな作りだったのかしら。

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 少し降りたところにあるのが「ブラフ18番館」。ここは内装がペールグリーンと白で統一されており、めちゃくちゃ好み。今回は上がることができなかったけれど、2階はハマスホイの絵画のような静けさがある。

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▲ブラフ18番館

 ということで、ぐるりと山手地区を歩いて回ったら14時近くなっており、お腹が空いたので、そのまま石川町までおりて中華街でうろうろと買い食い。腹がくちくなったところで駅前へ戻って「baybike」という横浜のシェアサイクル(docomoがやってるやつ)を借り、一気に赤レンガ倉庫方面へ走る。30分165円(税抜)なので、1時間悠々走っても300円ちょっと。街の隅々まで好き勝手に観光したいときは超便利です。じっくり見たいときは一旦返却すればOKなので使い勝手が良い。
 都内だとUber Eatsの人が使っていてなかなか借りられなくなってしまったシェアサイクルだけど、横浜は潤沢でした。

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▲赤レンガ倉庫 パッと名前が思いつかないんだけど、この景色を見るたびいつも、こういうだだっ広いところにポツンと建物が建ってる西洋の風景画あるよなあと思う……

 県庁や歴博、開港記念会館、横浜税関など、あの辺の良い建物の前をぐるっと回って山下公園に戻る。夕方近くになって晴れ間が広がり、銀杏もきれい。花々は言わずもがな。

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 そろそろこの旅も終わり。ホテルニューグランドへ戻り、「ザ・カフェ」のモンブランパフェで締めくくる。
 Go Toトラベルキャンペーンには「地域クーポン」なるものが付いてくる。旅費の約15パーセントがそれにあたるので、旅費が上がればそれだけクーポンの値段も上がる。
 今回私には2,000円分のクーポンが付与された。とはいえクーポンの利用期限は短く、チェックアウトした日には使わなければならない。そんなわけで何か美味いものでも食べて終わらせようと思っていたところ、ホテルの中にある「ザ・カフェ」で使えるよというので使うことにした。
 ここにはいくつかの名物がある。今では誰もが知っている「ドリア」や「ナポリタン」、「プリン・ア・ラ・モード」は、実はホテルニューグランドが発祥の地であり、このカフェではそれらをサーブしてくれるのだ。
 そんなわけで一見さんは「シーフードドリア」や「ナポリタン」、「プリン・ア・ラ・モード」を注文すべきなんだろ~な~~と思いつつ、11月限定の「モンブランパフェ」、こちらを注文しました。限定なので。

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 運ばれてきたとき、思わず「わあ!」と言ってしまったんだけど、もう、「紛うことなきパフェです!」という外観で、人類がモンブランパフェに対して持ちうる憧憬をそのままにした姿というか、とにかくそういう圧倒的な像がそこにあったので、声を出してしまうのもやむなし。
 上から栗の渋皮煮、圧巻のモンブラン、続いて名前忘れちゃったけどマカロンみたいなカルメラみたいなそういう歯ごたえのやつ、そしてかぼちゃのアイスクリーム(これが本当にかぼちゃだった!)。で、お口直しのコーヒーゼリーが最後に少々。お下品ながら「食ったなー!」という充足感がすごかった。

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 モンブランパフェは単品で税込み1,694円、コーヒーのセットにするとサービス料込みで2,500円とかそれくらいだったのだけれど、ここで地域クーポンが2,000円投下され、さらに宿泊者割(チェックアウト当日も適用される)が入ってお会計は250円くらいだったのでした……。なんか申し訳ないくらいなんだけど、そんな人に対しても大切なお嬢様のような扱いをしてくださるのよ。ありがとう、ザ・カフェの人。また来ます。

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 最後に見納めということでもう一度ロビーへ向かう。しつこいな~と自分でも思うけど、これを観に来たようなもんだから許して。
 実はカフェに入る前にもロビーへ行っており、その時にはもう結婚式は終わっていたので昼間の光を楽しんだ。ホント何回行ってんだよって感じだけど、この空間が大好きなのだ。好き好き大好き、超愛してる。

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 立ち去り難きを堪え、ホテルを後にする。
 去り際に昨日見ることができなかった中庭のライトアップを見ていたら、「素敵だなあ」という感想よりも「豊かになりてえな(金銭的な意味で)」と思ってしまった。
 なんというか、人並みに稼いで、たまにはこういうところにGO TOとか使わなくても泊まれるくらいにはなりたい。高級なホテルこそが素晴らしいというわけではなくて、ここはとても素敵だったから。だから、また泊まりたい。そういうことなのです。

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 最後の感想が貧乏たらしいものになってしまったが、さりとて惨めな気持ちで去ったわけではなく、のびのびと心底「楽しかったなあ」と思いながら家路についたのでした。
 近場の旅も、良いもんだね!

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