雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

展覧会でしか聞けない! 声優たちによる魅惑の音声ガイドの世界

記念すべき第1回目のいまトピでの記事。
Webメディアで書くのはこれが初めてだったため、ノリやトンマナに試行錯誤した跡が見て取れる。
声優さんを起用した音声ガイド、今では当たり前になりましたが、ちょうどこの頃から増えてきたのでした。(2018年3月26日公開)

はじめまして。今回より「いまトピ」コラムに参加させて頂きます、虹と申します。
プロフィールに書いてあるとおり、私は休みの日は滅多に外出をしません。外出しないどころか、気が付いたら休日が終わっているタイプの人間です。

日がな1日ぼんやりするのは大好きなのですが、いざ休日の終わりが近づいてくると「マズい、何もしなかったな・・・・・・」という謎の罪悪感に苛まれることも。


そんな出不精の私ですが、美術鑑賞が好きなもので、たまに美術館へ出かけることがあります。加えて中途半端なオタクでもありまして、漫画やアニメなども好きなんですね。
いかんせん中途半端なので詳しいわけではないのですが、アニメを見ていると自然と声優さんの名前を覚えるようになったりします。


普段はアニメを通じて知ることが多い彼らの仕事。
しかしですね、ここ数年、声優さんの活躍が美術界でも目立ってきているのを皆さんはご存知でしょうか・・・・・・?

そう、「音声ガイド」
近年音声ガイド界に、とある動きが起こっているのです!

 

音声ガイドは謂わば期間限定ボイスである

それまでも度々声優さんが起用されたことはありましたが、ここ数年でその起用率はぐんと上昇。個人的に大きな変化を見たのは2016年に開催されたゴッホゴーギャン展」でしょうか。

▲「ゴッホゴーギャン展」公式HPより。小野大輔さん(左)は「ジョジョの奇妙な冒険」や「おそ松さん」など、杉田智和さん(右)は「銀魂」や「パシフィック・リム(吹替)」などで活躍(公式サイトより)

小野大輔さん扮する不器用で純粋無垢なゴッホと、杉田智和さんによるオレ様なゴーギャンが紡ぐラストはもはや音声ガイドの域を超え、壮大なドラマCDレベルにまで達していました。あまりにも素晴らしすぎて、心底「音声ガイドの音源を売ってくれ」と思ったほどでした。

その後「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル バベルの塔展」にて森川智之さん(ズートピア/ニック役など)が16世紀ネーデルラントの案内人として囁き、「ベルギー奇想の系譜」展では速水奨さん(Fateシリーズ/遠坂時臣役など)がセクシー且つ厳粛な美声を披露。
そして名作「Tiger & Bunny」でワイルドタイガー役を好演した平田弘明さんが「長沢芦雪展 京のエンターテイナー」で《虎図襖》をワイルドに語るなど、各所で素晴らしい動きが起こっていきました。

▲「ベルギー奇想の系譜」展記者内覧にて、音声ガイドの魅力を語る速水奨さん。「(音声ガイドは)ワンコイン程なので、ランチを食べる感覚で耳にも栄養を」と仰っていましたが、もはやランチというよりドーピングでしょう。


先日開幕した「至上の印象派展 ビュールレコレクション」では皆川純子さん(テニスの王子様越前リョーマ役など)が名画に出てくる少年少女を1人2役で演じ、4月14日から始まる「プーシキン美術館展 ―旅するフランス風景画」ではロシア通の上坂すみれさん(アイドルマスター シンデレラガールズ/アナスタシア役など)が巨匠たちの愛した風景の中へ我々を誘ってくれるそう。

この他にも多くの素晴らしいガイドが存在しており、声優さんたちの活躍は留まるところを知りません。

▲「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」公式HPより

 

声のみで演じる現場が彼らの主戦場。
卓越した演技力とナレーションは声優好きに限らず、我々の美術鑑賞の時間を何倍にも盛り上げてくれます。

そんな魅力が音声ガイドには凝縮されているのですが、先にも述べたとおり、残念ながら音源は配信されていません。言うなれば展覧会だけの限定ボイス。
そんなのもったいない! 図録にCDつけてくれ! なんならダウンロードさせてくれ! 金ならいくらでも払う‼ と思う方もたくさんいらっしゃることでしょう。


音声ガイド界に新しいスタイルが誕生!

そこで登場したのがこちら。
古代オリエント博物館が提供する、“新しいスタイルの音声ガイド”です。


関智一さん</b>と言えば、「ドラえもん」のスネ夫や「昭和元禄落語心中」の与太郎、「妖怪ウォッチ」のウィスパー、そして「Fateシリーズ」のギルガメシュと幅広く活躍されている実力派。


www.youtube.com


一度ダウンロードさえしてしまえば、会場へ行く前に聴いても、帰ってきて聴いても良い、つまりどこでも何度でも聞くことができるという、まさに我々が待ち望んでいたタイプの音声ガイド。
うーん、最高ですね。思い出にもなるし、帰宅して図録と合わせて振り返っても良い。
何より「あの声をもう一度聴きたい!」という願いを叶えてくれるわけです。
こういったサービス、ぜひこれからも増えていってほしいものです。
(※現在開催中の「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Masterpiece Show 企画展」でも、ダウンロード型の音声ガイドが採用されているようです)

とは言え、今はまだ一期一会が主流の音声ガイド。
現在、東京都美術館にて開催中の「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」では、「新世紀エヴァンゲリオン」で渚カヲルを演じた石田彰さんが、さすがの演技力でブリューゲル工房の画家を務めていらっしゃいます。


石田さんの限定ボイスを東京で聴くことができるのは4/1まで!
ブリューゲル一族による名品とともに、ぜひお聞き逃しなく!

 

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