雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

展覧会

展覧会でしか聞けない! 声優たちによる魅惑の音声ガイドの世界

「いまトピ」(NTTレゾナント)で執筆した過去記事の再掲。声優を起用した音声ガイドについて2018年に書いたもの。

「ヴァロットンー黒と白」を体験した話

《〈アンティミテ〉板木破棄証明のための刷り》 1898年 木版 三菱一号館美術館で、「ヴァロットン─黒と白」が開催されている。もう開幕してひと月以上経っているので、すでに訪れた人による感想もそれなりに上がっている。 かくいう私も、以前、美術展ナビに…

2021年を振りかえる

エントリではほぼ触れていませんが、今年もトーハクの総合文化展には楽しませてもらいました 残念ながら2021年も、新型コロナウイルスの影響を受けた年になってしまった。 普段、美術業界の末席で仕事をしているため、特に前半は散々な目に遭ったなァという…

ホテルニューアカオの最後を見に行った

※これを書いた時点では、ホテルニューアカオ館が今後も活用されるとは発表されていなかったため、このようなエントリになっております。現在ホテルニューアカオ館は、アートイベント等で使われています。宿泊営業は終了しています。 先日Twitterで、熱海の「…

イスラエル博物館所蔵 「印象派・光の系譜」で光を見た話

コロナ禍になって、1年半ちょいが経とうとしている。もともと変なところで潔癖なうえに、呼吸器と循環器を悪くした過去があることから、この1年半、それなりに高めの緊張感を途切れることなく持って生活してきた。 空がどんなに高くとも、風がどんなに暖か…

京都へ旅したはなし1(市川屋珈琲、河井寛次郎記念館、山口晃展)

3年ぶりに京都に行った。目下コロナ禍、1年前に横浜に宿泊をして旅気分は味わったものの、新幹線に乗るような距離は久しぶりだ。 nijihajimete.hatenablog.com さて、今回のメインは山口晃さんの展覧会「ちこちこ小間ごと」(ZENBI)と、「フィンレイソン…

【巨大映像で迫る五大絵師】展で「見る」を鍛えた話

大手町の三井ホールにて、「巨大映像で見る五大絵師」を見た。 faaj.art 文字通り有名な五人の絵師の作品が巨大映像になっているというもので、葛飾北斎、歌川広重、俵屋宗達、尾形光琳、伊藤若冲という錚々たる名前が並ぶ。 当初私は「今はやりの没入型イン…

「コンスタブル展」で雲を眺めた話

先ほどiPhoneの写真フォルダを遡ったところ、雲を写した写真がたくさん収められていることに気がついた。 フィルムの時代から空を被写体にした写真を多く撮ってきたが、携帯電話にカメラ機能が付いてからというもの、その頻度は比較にならないほど増えた。 …

「冨安由真展/漂白する幻影」で亡霊を体験した

2021年1月に開催された「冨安由真展/漂白する幻影」の感想

3つの声と100年を旅する:トライアローグ展 行ってきた(横浜美術館)

横浜美術館で11月14日から始まった「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」。 新型コロナウイルスによって諸々今までとは異なる仕組みにせざるを得なくなっている現在、美術界も然りであり、海外との作品の…

鴻池朋子 「ちゅうがえり」を観た

鴻池朋子の「ちゅうがえり」を見に行った。すごかった。精神が身体から離れてしまうんじゃないかと思うくらい怖かった。

夏目漱石に愛された画家の話 (津田青楓展)

練馬区立美術館で開催されていた「生誕140年記念 背く画家 津田青楓とあゆむ明治・大正・昭和」が閉幕した。もっと早くにブログを書くべきだった。とても良い展覧会だったから。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、途中から土曜日曜の開館を「自粛」さ…

ゴッホ展へ行き、この人 生きづらかったろうなあとしみじみ思った話

仕事の帰りにゴッホ展へ行った。 いつ上野へ行っても行列を成していた「ゴッホ展」(上野の森美術館)。 「空いてる日に行こう」と様子を見ていたら、あっという間に会期終了目前となってしまった。日中死に物狂いになって仕事を終わらせ上野へ向かうと、そ…

2019年に観た展覧会ベスト10

2019年は本当に忙しく、激動とか多忙とかそういう忙しさではなくて、もう「心を亡くす」系の忙しさでした。仕事というか、環境が辛かった。プライベートの記憶が2018年とごっちゃになっている。 ──で、去年はどういう出だしでベスト10のエントリを書いたっけ…

「クリスチャン・ボルタンスキー ーLifetime」にて、かつてのことを鮮明に思い出した

「きかせて? 一瞬だった?」 そう尋ねられた瞬間、あの日のことを鮮明に思い出した。白くかすんでいく意識の中で、「ああ、自分は死ぬのだ」と思った。その、なんと呆気ないことか。母が私の名前を叫んでいる。唇が真っ白になってしまったと悲鳴をあげてい…

単眼鏡の恐ろしさを東博とルーベンス展で実感した

ひとつ前のブログにも書いたのだけれど、昨年狩野芳崖の作品を観て猛烈に単眼鏡の必要性を感じ、本格的に購入を考えるようになった。 ちょうどその頃、アートブログ「青い日記帳」のTakさんがケンコー・トキナーの単眼鏡「ギャラリーEYE」の記事を書いており…

2018年に観た展覧会ベスト10

年末盛大に風邪をひいて予定が後手後手になってしまい、ただでさえ書くのが遅いブログの準備を全くできていなかったために年を跨いでしまいました。 今年はもう本当にいろいろあって忙しくて、なんか2018年と2017年の記憶がごっちゃになってしまって「2018年…

「フィリップス・コレクション展」に行ってきた。もはやここに住みたい。

@三菱一号館美術館(※写真は美術館の許可を得て撮影しています) 「フィリップス・コレクション展に行ったよー」と言うと、そこそこ美術鑑賞が好きな人からは「前にも来てたよね?」という答えが返ってくる。 そう、2011年にも国立新美術館で「モダン・アー…

不気味な既視感に陶酔する:冨安由真展 「くりかえしみるゆめ」 (資生堂ギャラリー)

最近はめっきりご無沙汰しているけれど、私は時折、不思議な体験をすることがある。 その時はとくに気づかなくても、あとになって「あれはオカルトな体験だったのでは?」と思うようなことが、振り返ると何度かあったりする。

ミラクル エッシャー展 行ってきた

@上野の森美術館 《メタモルフォーゼⅡ》1939-40年 木版 192*3875 (部分) ※写真は美術館の許可を得て撮影しています。 エッシャーと聞いて、あのだまし絵の人ね、と すぐイメージが浮かぶ方は多いと思います。 そう、「水が永久に循環する塔」や、「階段…

【特別展】琳派 俵屋宗達から田中一光へ 行ってきた

@山種美術館 (※写真は美術館の許可を得て撮影しています) リリースが出た時から楽しみにしていた展覧会。 もしかしたら山種美術館の展覧会の中で、今年一番楽しみだった企画かもしれない。 ────というのも、2015年にdddギャラリーで開催された「20世紀…

連載開始50周年記念 「あしたのジョー展」 行ってきた

@東京ソラマチ 5F スペース634 4月よりスタートした新作アニメ「メガロボクス」。見てますか? 舞台は近未来。 肉体とギア・テクノロジーを融合させた、究極の格闘技である「メガロボクス」にすべてを賭ける男たちを描いたこの物語。こちら何を隠そう、「あ…

【企画展】「桜 さくら SAKURA 2018 ─美術館でお花見!─」行ってきた

@山種美術館 ※写真は美術館の許可を得て撮影しています。 春です。 ついこの前まで寒かったのに、あっという間に花咲き誇る春。花粉症もやばいですが、桜、最高ですね! この時期桜の蕾が膨らめばそわそわし、開花宣言を聞くやそわそわし、咲いたら咲いたで…

【企画展】生誕150年記念 横山大観 ー東京画壇の精鋭ー 展 行ってきた

@山種美術館 手前:《霊峰不二》 横山大観 1937年 絹本・彩色 山種美術館蔵 大観と言えば2013年に横浜美術館で「良き師、良き友」展が開催されましたね。タイトルの通り交友関係がしっかり描かれた展覧会だったので、画家としての大観だけでなく、サイドスト…

2017年に観に行った展覧会ベスト10

2017年観に行った展覧会ベスト10 あけましておめでとうございます。 結局昨年中にまとめきれなかったので三が日中に。 昨年はたくさんの展覧会に行く機会に恵まれた上に、素晴らしい展覧会が多く開催されたため迷いました。その中で再訪したものや、印象に残…

「日展」行ってきた

@国立新美術館 ※写真は主催の許可を得て撮影しています。というか、日展は平日であれば、受付に撮影許可を申請することができます。 「日展」 もとい、改組 新 第4回日本美術展覧会。 言葉は聞いたことがあっても、実際観に行ったことがある人はどれくらい…

パリ ❤ グラフィック ロートレックとアートになったポスター展 行ってきた

@三菱一号館美術館 [caption id="attachment_2486" align="aligncenter" width="519"] 今の時期、入る前から気分が上がるブリックスクエアの中庭は美しい![/caption] 最初に言っておきますが、この展覧会に来ている作品は全部傑作。隙ナシ!

【特別展】没後60年記念 川合玉堂―四季・人々・自然― 行ってきた

@山種美術館 山種美術館で川合玉堂展が行われると聞いたとき、「前回の玉堂展って去年の頭とか一昨年くらいだったっけ?」と思っていたらなんと4年前! 時の経つのは早いものだというよりも、つい最近だったように思えてしまうほど鮮明に覚えていることに驚…

「怖い絵」展行ってきた

@上野の森美術館 忘れもしない5月の終わり。「怖い絵」展の記者発表が行なわれてから、首を長くして待っていた展覧会。私、怖いの大好きなんですよ……。 単にグロいやつとか、ただ驚かすだけのものよりも「いわくつきの〇〇」的なものに目がなくてですね。そ…

【企画展】上村松園―美人画の精華 展行ってきた

@山種美術館 (写真は美術館の許可を得て撮影しています) 上村松園。 京都生まれ京都育ち、女性として初の文化勲章受章者(1948年)。 子に上村松篁、孫に上村淳之と三代続く画家一家です。 松篁と淳之は花鳥画を主に描き、松篁は不染鉄と合作もしている(…