雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

「蒼樹うめ展」行ってきた

上野の森美術館 eyecatch

私がうめ先生を知ったのは月並みですが「魔法少女まどか☆マギカ」。タイバニと同じ時期になんだかすごいアニメがやっているらしい(友人がコスプレをしていた)、山口晃画伯がトークショーまどマギネタを披露した(まどかを描いた)というところから入って、本編はリアルタイム以降に観たという……。正直詳しいわけではなかったので、この展覧会で「蒼樹うめの仕事」を観ることができて良かったです。絶望先生エンドカードもやっていらしたのですね。(写真は主催の許可を得て撮影しています) しかし恐るべし、うめ先生人気。

そうよね、鳥獣戯画展なんて可愛いもんですわね。物販含んでの戦いですし、会期短い展覧会は本気で勝負しなきゃならないんですよね……というか、タイバニ展の時も12時間待ちとかだったけど、物販てもうちょいなんとか上手くいかぬものなのだろうか。

とはいえ展覧会内容は盛り沢山で、上野の森美術館としては珍しい2階からのスタート。ゲートをくぐるとメインビジュアルの「ゆのっち&まどか」のイラストが出迎えてくれました。 gatemadokayuno

序章では子ども時代のクレヨン画からデッサン、そして噂の「蒼樹うめ流(?)ふんわり焼ビーフン」のレシピと食品サンプルも。うめ先生曰く、食品サンプルの素晴らしい出来もこの展覧会の見どころのひとつだそうです。 bifun

気になる音声ガイドは、ゆの役(ひだまりスケッチ)の阿澄佳奈さん、鹿目まどか役(魔法少女まどか☆マギカ)の悠木碧さん、そして蒼樹うめ先生が担当されており、音声ガイドというよりはキャストクレジットトーク的なノリでとても楽しいです。

うめ先生がこの展覧会を開催するにあたって考えたことは、「肩肘張らず、リラックスして楽しんでもらえるような展覧会にしたい」ということだそうで、音声ガイドもそうなのですが、会場のいろいろなところに”展示以外でも楽しめるポイント”があるのも魅力でした。 第2章”ひだまりスケッチの世界”では、ゆのの絵描き歌コーナーや

[caption id="attachment_1320" align="aligncenter" width="336"]絵描き歌にあわせて描いた絵を貼るスペースも 絵描き歌にあわせて描いた絵を貼るスペースも[/caption]

撮影可能な「ひだまり荘

[caption id="attachment_1321" align="aligncenter" width="448"]ひだまり荘の中は撮影OK ひだまり荘の中は撮影OK。バスルームもキッチンも有り[/caption]

[caption id="attachment_1322" align="aligncenter" width="336"]ゆのの部屋にはゆのもいます ゆのの部屋にはゆのもいます[/caption]

会期中、ゲリラ的にライブドローイングが開催されるそうですが、それ以外でもメイキング映像でイラストができるまでを見ることができます。(公式HPでも一部公開中

[caption id="attachment_1323" align="aligncenter" width="448"]メイキング動画 メイキング動画[/caption]

[caption id="attachment_1324" align="aligncenter" width="336"]ライブドローイング。この日はゆのとキュゥべえが描かれました ライブドローイング。
この日はゆのとキュゥべえが描かれました[/caption]

 

イラストレーター・漫画家になるまでの軌跡と、『ひだまりスケッチ』のセクションが終わると、フロアを移動して1階へ。圧倒される仕事部屋を経て、いよいよ第3章”キャラクター原案「魔法少女まどか☆マギカ」”の部屋へ移ります。 deskmadoka

ひだまりスケッチと比べて感じるのは、やはりキャラクターの表情に「陰」があること。元気のいい笑顔も、落ち着いた微笑みも、根っこの部分に何かを背負っているという雰囲気が滲み出ています。物語を知るとその「陰」の意味がわかるのですが、物語を知らなくてもこの表情の機微の妙は伝わるのではないでしょうか。展覧会のコピーにもなっている「どこにでもいる女の子から、神様になった女の子まで」。まさにこの2作品の対照的な雰囲気の違いはフロアを隔ててはっきり分かるので、うめ先生の力はもちろん、「アニプレックスは日常系の枠を超えた力を見抜いて抜擢したんだなあ……」と思わずにはいられませんでした。

[caption id="attachment_1327" align="aligncenter" width="448"]キャプションの他にも、いたるところにたくさんのメッセージが。 キャプションの他にも、いたるところにたくさんのメッセージが。[/caption]

 

第4章は”蒼樹うめの仕事”。知らなかったものが多いけれど、本当にいろいろな仕事をされているんだな、という印象。絵師100人は記憶に新しいですが、他にも「あ、見たことある!」というイラストまで。 4章

かなりお腹いっぱいになれる作品数でしたが、多くの方にとってはこの後に「物販」というイベントが控えていることでしょう。お皿事件もありましたが、図録。図録がとても良かったです! インタビューや対談を読むと、これらの作品に限ったことではありませんが、人々が良作と認めるものほど本当に大切に作られているんだなというのがよく分かります。そこには苦労だったり覚悟だったり、意志だったりが込められているのですが、根底にある「この作品を作るにあたって自分が担当する仕事はきちんと丁寧にやろう」という姿勢が本当に気持ち良いし格好いい。日本のアニメを世界に!と騒いでいる人たちは、表面だけのブームを見るのではなく、こういった丁寧にしっかり仕事をしている人たちに向き合った上でPRをしてほしいなと思います……。

会期上、短期決戦となりますが、「ほんわかしてる」だけではない蒼樹うめ展、見応えありました!

会期:2015年10月3日(土)~12日(月・祝) 会場:上野の森美術館 蒼樹うめ展 公式HP: http://www.umeten.jp/