雨がくる 虹が立つ

ひねもすのたりのたり哉

【今更】2013年に観に行った展覧会ベスト10【今頃】

あけましておめでとうございます。 このブログを始めてから半年経ちました。実際ブログを始めてみると、観に行くスピードにブログが着いてこれないという体たらく・・・。ツイッターは展覧会場出てすぐ呟けるけれど、ブログはもうちょっと腰を据える必要があるのでそこで差が出てしまいますのね・・・ 2014年はもうちょっとマメに書ければなと思います。

さて、他の美術クラスタさんたちは年内にきちんとベスト10を決めていらっしゃったのですが、私はずるずると決めかねており、元日にしてようやく決めました。だって良いのたくさんあったんだもん・・・

というわけで、下記の通りになります。

1.ダレン・アーモンド追考@水戸芸術館

年末に観に行ったダレン・アーモンド展。直近で見たから印象が強いというのは否めませんが、それでもこれはものすごかった。特に映像が・・・。自分の中の奥深いところに一気に流れ込んできます。過ぎゆく時間・ながれゆく万象、そういったものがキーワードになっています。余裕があったらもう一度行きたい。遠いけど・・・。まだブログは書いていませんが、近いうちに思ったことをまとめられたらいいな。

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2.アントニオ・ロペスBunkamura

こちらはブログにも書きましたが(アントニオ・ロペス展行ってきた)、別の場所にいてもなお、目の前が開けてその中の空気に触れることができる絵とは何であるか身を持って体験した展覧会。また、自分の中で、作品を作る上での時間という概念に対する考え方を増やすことができたのが収穫でした。対象をつぶさに観察して、自分の中で咀嚼して手から流しだすということを人間はできるのだという奇跡を知った展覧会でもあります。

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3.東博 秋の特別公開@東京国立博物館

こちらもブログに書きましたが(東博「秋の特別公開」行ってきた)、抱一!抱一がすごかった。四季花鳥図巻がもうかわいいのなんので、平常心の壁が崩壊して大変でした。隙が無いからこっちも真剣勝負で観るしね。夏秋草図屏風もすごく良かった。

他に土蜘蛛絵巻とか博物画譜コーナーとかセレクトが見事でやんした。これで常設っていうんだから博物館ってすごいよなあ。 t

4.狩野山楽・山雪@京都国立博物館

チラシに載っていた山雪の<雪汀水禽図屏風>(写真)を見て、何だこのすごい絵はどうなってるんだ?!と思って観に行ったら本当にすごかったという展覧会。山楽・山雪の合作<朝顔図襖>の執拗なまでの垣(山雪担当)とか、形態が植物の域を逸しているけれど年老いた樹木にはこんな魂が宿るかもと思わせる山雪の<老梅図襖>とか、とにかくちょっと狂ってるんじゃないかっていうくらい変態っぽいところが堪らんかったです。うん、私はどちらかというと山雪の方が好きだな。 sr

5.アンドレアス・グルスキー展@国立新美術館

こちらもブログ書きましたけれども(アンドレアス・グルスキー展行ってきた)、ありがたくも内覧会に参加することができ、グルスキー氏の姿を拝見することができたのですが、すげーイケオジでびっくりしました。 作品について言うとやはり不思議な質感と鬼のようなベタピンでしょうか。画処理していることをマイナスと指摘する意見もちらほら見たけど、本人は写真家というよりもアーティストと思って制作しているから、それが一つの技法だというならそれでいいんじゃないかなと思ったり。パレルモ・シューティング観ないとね! SONY DSC

 

6.円山応挙展@愛知県美術館

応挙に詳しいわけじゃないけど、それでも何となく持っていた自分の中の応挙のイメージを一変させた展覧会。応挙って穏やかで品があって人気があって・・・と言う人だと思っていたけれど、結構アンチに晒されたり新しいことやって炎上したりしたみたいですね。でも言いたい奴は勝手に言ってろの精神で気にせず我が道を行っていたっていうところも、その結果が見事なものだったっていうところも、相変わらずこの人の描く犬はこの顔だなっていうところも良かったです。そして鳥。<薔薇文鳥図>は最高でした。あと既に3Dを手掛けていた(遠近法と飛び出す用の色彩を使って絵を描き、専用眼鏡で3Dにする)っていうのもすごかった! b

7.プライスコレクション「若冲が来てくれました」@仙台市博物館

東北三県を巡回したプライスコレクション展。この時就職活動中だったため、仕事が始まる前にと最初の会場仙台市博物館へ。偶然その日プライスさんご夫妻が会場にいらしていて、地元の学生を連れて作品のレクチャーをされていました。 図録にサインを入れ、一緒に写真を撮って下さったプライスさんご夫妻。会場のキャプションや図録からも伺えるように、単なる慈善事業ではなく、本当に心根の優しい人たちなんだなという印象を持ちました。 若冲の鳥獣花木図屏風がケースに入れられず、むき出しの状態で展示されていることも話題になりましたが、ここに展示されていた呉春の幽霊図も実はちょっといわくつきの物だったりしたんですよ。 c

8.貴婦人と一角獣国立新美術館

2013年は良い展覧会がたくさんあったので迷いましたが、やはり「おおお…」と思うことが一番心に残るのよね、ということで貴婦人と一角獣。あの空間に「ばーーーん」と6枚の巨大なタピスリーが並ぶさまは衝撃でした。黒い部屋に浮かぶ千花紋様、そこに浮かぶ貴婦人と一角獣(と、侍女と動物とライオンも実はいるんだヨ…)。科学博物館ではこのタピスリーをプリントして飾り、ガンダムUC観賞会をやったそうですw(ガンダムUCにこの絵が出てくるのだ) 正直タピスリーに対してそれほど興味がなかったのですが、ボストン美術館展で観たミル・フルールのタピスリーを観てからタピスリー熱が高まり、行ったらすごく良かった展覧会。こういうヨーロッパが持つ不思議な謎めいた世界観は本当にすばらしい。 m

9.浮世絵―Floating World―展@三菱一号館美術館

全3期でテーマを変えて作品を全入れ替えして行われた大規模な浮世絵展。こちらもブログに書きました。(一期三期 あ、二期が抜けている…)西洋美術でお馴染みの三菱一号館が浮世絵?ということで話題になりましたが、19世紀、浮世絵に影響を受けたヨーロッパの画家たちの作品と元ネタになったであろう浮世絵を並べて展示することで、19世紀の美術シーンを追体験できるという試みは一号館ならではでした。シックな内装に鳥居清長の美人たちが映えること! この展覧会はまるっと斉藤コレクションなのですが、斉藤さんは世界に1つというお宝を幾つか持っていらっしゃって、それらも惜しげなく公開されていました。また、開国以降の日本がスピードを上げて西洋ベースの文明に向かって爆走する様子が絵からひしひしと伝わってきたのも強く記憶に残っています。浮世絵は紛うことなき報道だったのだと、あらたな印象を持つことができた展覧会。 u

10.幽霊・妖怪画大全集@そごう横浜美術館

2013年、横浜のそごうは画伯やら中原淳一やら幽霊妖怪やらで個人的にものすごい当たり年でした。こちらもブログに書きましたが(幽霊妖怪画大全集いってきた) 、山下裕二先生とこちらのコレクションを出店している福岡市美術館の中山喜一朗氏によるトークショーが本当に面白かった!(幽霊妖怪画ちょっと怖い話)中山さんの幽霊や妖怪たちに対する愛を感じたよ…。 若冲付喪神図が観たくていったのですが、(伝)応挙の幽霊や暁斎の生首振り回している絵も来ていて充実しました。妖怪が大好きな自分にとって、これは本当に見ごたえあったなあ。水木先生の妖怪のルーツも良く分かったし、勉強になって展覧会でした。 y

そんなわけで、簡単に振り返りましたが、「山口晃はいいのかよ!?」という感じですよね。 はい、画伯は殿堂入りなのでベスト10からは外しました!画伯、2013年は横浜と館林で個展やっていて、横浜は挿絵が充実、館林は半生を振り返る的な意味合いがそれぞれ素晴らしかった。とくに館林はもう観ることができないかもしれない個人蔵がかなりきていたし。

他にも入れたかったのが山種の百花繚乱。田能村直入の「百花」は何時間でも観ることができるくらい飽きない美しさで、これは抱一の四季花鳥図巻にも通じるものがありました。 あとは白隠も良くてなぜか3回も行ってしまった・・・山下先生の音声ガイドがのんびりした白隠の絵にとても合っていて和みました。白隠が良かったもんで仙厓展も行って、こっちはこっちで洒脱なんだけど結構いいかげんというか気儘なところがあって、もしかしたらこういうノリに禅の良さの真髄があるのかもしれない。。。と思ったり。 二川幸雄展も素敵でした。丁度観に行った翌日だったかに二川さんがお亡くなりになられ、でも最後にあの展覧会やったら満足なんじゃないかなという気もしました。すごくかっこよかった。あの構造の家を写真に歪みなく納めるには、あそこから撮るのか。。。などなど勉強にもなりました。 あとはオペラシティのアートがあればⅡ。コレクターの視点から組まれた展覧会の第二回目ですが、コレクションからその人の奥底が見え隠れするのはとても面白かった。知らない作品にもたくさん出会えたし、第三回が待ち遠しいです。 あと大野麥風も良かったし、ラファエロも良かった。人気の高い漱石の美術世界もウォーターハウスや抱一が本当に良くて、それが文学と重なるとさらに降り注ぐものが増えるということも知った。 興福寺仏頭展はかっこよさと面白さでテンションあがったし、レオ・レオニは可愛いだけじゃなく、物語から読みとる哲学にも触れることができた。 和様の書では、それまでなんとなく馴染みの薄かった「書」というジャンルをデザインとして楽しむことができると知ったし、マリオ・ジャコメッリは世界観に圧倒された。スカンノ、神学校、これをプリント完成図として頭に描けるってすごいよ。 バルビエ展をはじめとする鹿島茂コレクションはセンスに脱帽しつつ、その時代の出版業界の流れや敏腕編集者の仕事展としても観ることができた。編集をさらに編集するという作業の面白さも発見。横山大観川合玉堂速水御舟を観て思った画壇に新しい風を送り込むのはとても難しいということ・そして不屈なのではなく描きたいから描き続けたという姿勢。最後まで模索することで皆それぞれのスタイルを持ちつつも、流れは皆共通していたということが興味深かったし、それは竹内栖鳳も同じ。栖鳳の虎、観れてよかったな。

という感じで正直10に絞るのは難しかったし無理があるかもしれませんが、2013年はこんなかんじでした。 2014年はどうなるのかな。楽しみです。 美術だけでなく、待ちに待った(ほんとに)Tiger&Bunnyの劇場版第二弾もあるしね!!

ではでは今年もよろしくお願いします。